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日記
2020年10月26日 10:10
しかしながら世の中の食文化は刻々と変化しており、日本人は食の西洋化によってお味噌の消費量は数十年の間ずっと右肩下がりなんです。 ここ2、3年は健康志向の高まりからくる発酵ブームが手伝って踏みとどまっていますが、一時的なものとみるのが無難です。
「麹たっぷり」、「麹本来の甘み」、「減塩」、「塩ひかえめ」など書くといかにも売れそうです。 麹は大豆に比べて高価なので、麹歩合が高いお味噌は価格設定が高くなりがちですが、それでも市場に出ると売れやすいので、味噌メーカーとしては都合が良いのです。 上記のような味噌に存在意義はありますし、それを否定することではありません。 そうではなくて、各味噌メーカーがどんどん同じ味に向かっているということが問題だと思っています。
分かりやすく仙台味噌を例に挙げます。 仙台味噌は麹歩合が5~7歩と、平均的な10歩と比べるとかなり低くなっています。 また、塩分濃度は13%程度と平均的なものより若干高いのです。 現代の人には伝わりにくい部分がありそうですが、味噌としての価値は大変高いものがあると思います。 まず、大豆比率が高いために味が濃厚、よく発酵・熟成しているために香り高く、甘みを抑えていることによって食材を生かすと言われています。 お味噌汁を作る時はお味噌を通常より少な目に使用するので上品な味わいで、しかも結果的に塩分量は多くないのです。 また、経済的でもあります。 大変価値のあるお味噌であることがお分かりいただけるでしょうか。
仙台味噌に限らず、全国各地に存在する特徴的なお味噌には高い価値があると思っています。 世の中の求めるお味噌を作り出すことは大切ですが、それに振りまわされてしまってはいずれ味噌業界がつまらないものになるかもしれません。 ですから、それぞれの味噌メーカーが独自に「価値のあるお味噌はこういうお味噌だ」という考えをしっかり持つ必要があるのではないかと思っています。
加藤兵太郎商店はそのような考えのもと、昔からの作り方を大きく変えず、「加藤兵太郎商店らしさ」を常に意識して作り続けています。
8種類ものお味噌を作っていますが、どれも加藤兵太郎商店らしさを感じられるものとなっていると思います。
是非ご賞味ください。
いいちみそ醸造元 加藤兵太郎商店