日記

2020年10月26日 10:10

1850年創業、小田原で営む老舗味噌蔵、加藤兵太郎商店が考える味噌

加藤 篤
日本の味・みそマイスター

1984年生まれ(36歳)神奈川県小田原市生まれ。B型。創業1850年の味噌蔵。加藤兵太郎商店の7代目。「みそ製造技能士2級」「みそソムリエ認定協会 みそソムリエ」「みそまるマスター」取得済み。仕事上、一般の方に味噌についての説明が多いため、一般の方が味噌について何を知らず、何を知りたいか、日々勉強中。

加藤兵太郎商店は小田原の地で170年続く味噌蔵です。
170年と聞くと、すごい老舗!思われることが多いですが、味噌業界ではこのくらいの会社はザラにあります。
それだけお味噌というのは歴史が長く、かつ愛され続けているということが分かります。 それぞれの味噌メーカーはその地域で馴染み愛され、その土地の味を形成しています。 加藤兵太郎商店の味噌も小田原市民の間では馴染みの味となっているのではないかと思います。

しかしながら世の中の食文化は刻々と変化しており、日本人は食の西洋化によってお味噌の消費量は数十年の間ずっと右肩下がりなんです。 ここ2、3年は健康志向の高まりからくる発酵ブームが手伝って踏みとどまっていますが、一時的なものとみるのが無難です。

そんな中、味噌メーカーはどうやったら味噌が売れるかを模索し、様々な商品を生み出しているのですが、各社考える味噌が似通ってきている印象があります。 世の中の流れに沿ってお味噌を作るのでそれは当然のことです。 例えば、発酵ブームによって麹が人気であること、昔に比べて甘いものを好む舌になっていること、ここに味噌メーカーは目をつけ、麹歩合(大豆に対する麹の割合)を高め、塩を少なめにして、甘いお味噌を作ろうとしがちです。

「麹たっぷり」、「麹本来の甘み」、「減塩」、「塩ひかえめ」など書くといかにも売れそうです。 麹は大豆に比べて高価なので、麹歩合が高いお味噌は価格設定が高くなりがちですが、それでも市場に出ると売れやすいので、味噌メーカーとしては都合が良いのです。 上記のような味噌に存在意義はありますし、それを否定することではありません。 そうではなくて、各味噌メーカーがどんどん同じ味に向かっているということが問題だと思っています。

最初の方でも書きましたが、それぞれの味噌メーカーはその地域で愛され、その土地の味を形成しています。 お味噌の歴史が長いからこそ起きる現象であり、それがお味噌の面白さや魅力に直結していると考えます。 それなのに各味噌メーカーが「売れそうなお味噌」を求めて安易に同じような味を作ってしまうと、お味噌の面白さや魅力が薄まるような気がするのです。

分かりやすく仙台味噌を例に挙げます。 仙台味噌は麹歩合が5~7歩と、平均的な10歩と比べるとかなり低くなっています。 また、塩分濃度は13%程度と平均的なものより若干高いのです。 現代の人には伝わりにくい部分がありそうですが、味噌としての価値は大変高いものがあると思います。 まず、大豆比率が高いために味が濃厚、よく発酵・熟成しているために香り高く、甘みを抑えていることによって食材を生かすと言われています。 お味噌汁を作る時はお味噌を通常より少な目に使用するので上品な味わいで、しかも結果的に塩分量は多くないのです。 また、経済的でもあります。 大変価値のあるお味噌であることがお分かりいただけるでしょうか。

仙台味噌に限らず、全国各地に存在する特徴的なお味噌には高い価値があると思っています。 世の中の求めるお味噌を作り出すことは大切ですが、それに振りまわされてしまってはいずれ味噌業界がつまらないものになるかもしれません。 ですから、それぞれの味噌メーカーが独自に「価値のあるお味噌はこういうお味噌だ」という考えをしっかり持つ必要があるのではないかと思っています。

加藤兵太郎商店はそのような考えのもと、昔からの作り方を大きく変えず、「加藤兵太郎商店らしさ」を常に意識して作り続けています。 8種類ものお味噌を作っていますが、どれも加藤兵太郎商店らしさを感じられるものとなっていると思います。
是非ご賞味ください。

いいちみそ醸造元 加藤兵太郎商店


営業時間 10:00~18:00
定休日 日曜日、祭日
TEL 0465 - 34 - 7188
FAX 0465 - 34 - 7189
〒250-0001小田原市 扇町5-15-6
ホームページ(こちらからご注文が可能です) https://iichimiso.com/

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日記

2020年03月24日 15:57

自己紹介

加藤 篤
日本の味・みそマイスター
1984年生まれ(35歳)神奈川県小田原市生まれ。B型。創業1850年の味噌蔵。加藤兵太郎商店の7代目。

幼少期から親戚一同に家業を継ぐことを期待され、プレッシャーを感じながら過ごす。
逃げるように大学へ進学し、親を納得させるかのように大手システム会社に就職。
いわゆるシステムエンジニアとして社会人生活を送っていたが、7年ほど社会に出ていると仕事に対する価値観が変わっていく。
そんな中、酔った席ではあるものの、味噌屋を継いでほしかった旨を父から伝えられる。これは人生で初めてだった。
同時に、婚約相手にまで味噌屋を継ぐことを望まれ、自分だけが味噌屋を継ぐことを拒んでいる、という現実を知り、継ぐことを決意。
30歳で前会社を退職、家業の仕事を開始した。

【会社の改革】
加藤兵太郎商店は良くも悪くも古い体質の会社なので、多くの改革を行ってきた。
最も力を入れたのがブランディング(ブランド力の向上)。
もともと真面目な味噌造りを続けているので、中身の味噌が素晴らしいのは誰の目で見ても明らかだった。
そこで、見せ方や発信の仕方に今までよりも力を注ぎ、ブランドイメージを変えていった。
すると「味噌造り教室」や「小学校での味噌の講話」、マルシェなどの「イベント出店」、「雑誌取材」など、自然と露出も増えて行った。

【味噌の知識について】
味噌屋の跡継ぎというのは、一般的に東京農業大学などで醸造科を選択してお味噌の知識などを得るが、私は普通の大学の工学部を出たので味噌に関しての知識はからっきし。
まずは自社の先輩方から味噌の造り方を教わり、実際に仕込んで覚えていった。
その後、味噌業界の一般知識も必要だと考え資格なども取得していき、現在は
「みそ製造技能士2級」
「みそソムリエ認定協会 みそソムリエ」
「みそまるマスター」
というものを取得済み。
仕事上、一般の方に味噌についての説明が多いため、一般の方が味噌について何を知らず、何を知りたいか、日々勉強中。
一般の方に分かりやすい説明にこだわる。

これからの味噌の話に乞うご期待!

いいちみそ醸造元 加藤兵太郎商店


営業時間 10:00~18:00
定休日 日曜日、祭日
TEL 0465 - 34 - 7188
FAX 0465 - 34 - 7189
〒250-0001小田原市 扇町5-15-6
ホームページ(こちらからご注文が可能です) https://iichimiso.com/
いいちみその絶品レシピ http://www.0465.net/misorecipe/index.html


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その道の巨匠にお話を伺うマイスターブログ、今回は「いいちみそ醸造元 加藤兵太郎商店」加藤篤さまにご寄稿いただきました。

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